干し芋タツマの商品一覧

2014年2月の“お宝ほしいも”

今年度、産地で一番の話題になった干し芋が『紅はるか』です。手間がかかるサツマイモですが、その美味しさは折り紙つきです。

農家泣かせの紅はるかを、薪ふかしでその良さを十分に引き出しました。

もう10年近く前から全国的に人気になっているサツマイモは何か?と問われれば、干し芋(サツマイモ)好きならばすぐに「安納芋」と答えていただけそうです。

ご存知の通り安納芋は“蜜芋”と呼ばれるほど、焼き芋にして甘さを味わえます。
そんな安納芋より“はるかに美味しいサツマイモ”として品種改良されたのが、「紅はるか」です。
その美味しさには定評があり、ここ2〜3年で各産地で作られるようになりました。

紅はるかは、干し芋産地でも一昨年から干し芋用として栽培がはじまり、干し芋加工してみると、その甘さが評判になり、2013年度は一気に作付けが増えました。
今年度最高に注目の品種(干し芋)となりました。

紅はるか干し芋は、綺麗な黄色に仕上がり飴のような甘さがあります。
確かに干し芋にするサツマイモの中でも、とても優れている品種と言えます。

ということで紅はるかは、上々の品質の干し芋になるサツマイモですが、農家泣かせでもあります。
形状と収穫量と保存性が干し芋用のサツマイモとして、大変に扱いづらいのです。

まずは形状です。とにかく細長いのです。
芋掘りの時も深く掘ります。そして折らないように慎重に収穫作業をします。
それは加工時も同じです。
干し芋はサツマイモをじっくりと蒸すことで甘さを引き出します。
やわらかく、とろとろになるまで蒸すので、細長いと折れてしまいます。
加工時も丁寧に取り扱います。

そして収穫量ですが、これは形状と話が重なります。
細長いということは一個当りの重さが稼げませんから収穫量は少なくなります。
干し芋の品種として一般的な玉豊、玉乙女の2/3程度が紅はるかの収穫量です。
これは、育ちづらい品種のいずみ種位の収穫量です。

最後に保存性ですが、紅はるかが干し芋として普及を妨げる一番の要因になりそうなのがここです。
サツマイモ全体の特性として寒さに弱いことが挙げられます。
氷点下では一晩で傷んでしまいます。
この寒さに弱いことをどうやって克服するかが干し芋作りの重要事項です。
(干し芋産地はサツマイモが寒さに弱いことを逆手にとっています。寒さによりサツマイモは糖化していきます。また、この寒さにより天日干しができます)
紅はるかの場合、この寒さに弱いのが顕著です。
紅はるかに限らずどの原料芋も寒さ対策をします。
けれど農家の予想以上に寒さでの傷みが進んでしまったという結果でした。

この3点は紅はるかを干し芋にしていく上での宿命になります。
紅はるかは干し芋としてとても素性が良いですから、これからも作られていくでしょうけれど、主力の品種にはなり得ないと思われます。

今月はそんな農家泣かせの紅はるかの、薪ふかし干し芋です。
氷水を焚いて作る蒸気で原料芋を蒸す薪ふかしの最大の利点は、否が応でもじっくりと芋に火が通ることです。
じっくり蒸すこれ以上の方法はありません。
薪ふかしだとボイラーで蒸す紅はるか以上にとろとろに蒸け上がります。
ただでさえ扱いが大変な紅はるかが、より取扱い注意になります。
その代償として強い甘みが手に入りました。

『薪ふかし紅はるか平ほしいも』、タツマでも初お目見えです。

2014年1月31日 株式会社タツマ 福井保久